去る2020年12月16日に、合同会社政策支援の細川甚孝先生による議会質問ワークショップを開催致しました。

年4回シリーズの最後となった今回のテーマはDX(デジタルトランスフォーメーション)です。今回は基本的に講義を聞く形でしたので、セミナーと言った方が正しいかもしれません。

DXについては、コロナウイルス感染拡大の影響で、民間企業でのテレワーク化が一気に進んだことなどから、政府の対応も待った無しの状況となっています。

“脱ハンコ”などの言葉だけが独り歩きしている感もある自治体のDX計画。今回のワークショップでは、議会としてどう向き合っていくべきなのか、課題と先進事例の紐解きをして頂くことで、有意義な意見交換の場となりました。

 

【はじめに】
弊社代表の山田より、大槻デザイニング株式会社から、本ワークショップのアウトプットを議会活動に活かして貰うことで、参加者の皆さまの議員としてのブランディングにも繋がっていくことをお話させて頂きました。

また、コロナ禍における政治活動のヒントとなればという想いから、弊社が開発し特許出願中の「非接触イベント受付システム」をご紹介させて頂きました。

自治体のDX計画が本当に人々の生活を良くする計画になっているのか?」という問題提起からスタートしていきました。
ここから細川先生にバトンタッチして、本題に入っていきました。主な内容は次の通りです。

【1.DXとは】
「ICT(Information and Communication Technology)の浸透が生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」(エリック教授)という概念を解説頂きました。

その上で、「そもそも、課題が存在しているのか? それは、DXが本当に必要な課題なのか? 自治体のDX計画が本当に人々の生活を良くする計画になっているのか?」という問題提起からスタートしていきました。

問題は「情報技術人材の絶対的な不足」によって「ベンダー企業の提案を鵜呑みにしがち」そのために「市民が置き去りにされている」と指摘され、そうならないためには、、、

まず、課題が存在していることから起点し、その問題解決のためにICTの活用が欠かせないという、言われてみれば至極当たり前のことを確認していきました。

【2.自治体におけるDX】
このパートではまず、自治体におけるDXには国が主導して共通する業務アプリケーションを提供するなどによって標準化を進めていくという国の方針を解説下さいました。

そして、市民が窓口に行かなくとも申請が出来るような「表面上のデジタル化」と申請を処理する業務が効率化されるような「業務プロセスのデジタル化」の両方を考えていく必要がある、更には「Aiなどによって今までにない行政サービスを実現すること」が最終的なゴールになるということでした。

全国民一律給付金の事例などを紐解きながら、現場で今起こっている問題点を確認していきました。参加者からも自らの自治体でのチャットボット運用について情報シェア頂きました。

【3.事例】
いくつかの自治体の導入事例を解説頂きながら、課題と導入プロセスについて学んでいきました。

例えば、自治体側としては、DXが進むと結果として自分たちの仕事の場が奪われてしまうというジレンマを抱えているという潜在的な課題を、「住民満足の向上」と「事務経費削減」の両輪で取り組むことで、解決してった例を見ていきました。

また、自治体は失敗が許されない難しさがあることから、規則性がある業務についてRPAによる業務プロセスの改善が一番進めやすいというような意見が交わされました。

【4.思考法】
そして、これらの施策を実現するに当たって用途なる考え方として、デザイン思考をはじめとするスキルについて解説を頂きました。

ここでも、サービス提供側が空理空論で進めることの問題を説明して頂きながら、あくまでも住民側の視点に立った考え方が重要だということを解説していただきました。

この中で、デザインに関わる我々にとっても、がん検診の受診率向上キャンペーンにおいて、「無関心な方」「見つかるのが怖い方」「受信したい方」の3つのセグメントに分けてメッセージを発信したところ、受診率がそれぞれアップした事例は、大変興味深く拝聴いたしました。

【さいごに】
細川先生の濃い内容でありながら、分かり易く、そして熱い講義に参加者からも様々な質疑応答がありました。最後に、世の中の動向や先進事例の探し方を解説頂いてお開きとなりました。

コロナ禍で急速にデジタル化が進む中、各自治体とも迷いながら進んでいるテーマに一筋の光が見えたような講義になりました。

最後まで、読んで頂きましてありがとうございました。
来年以降も、時代にあったよりよいセミナーを目指して参りますので、関心があるテーマなどありましたら、ご意見お寄せください。