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1 掴みはOK?

私が印象に残っているスピーカーの登場シーンの一つに、2008年に行われたMacBook Air の発表イベントがあります。壇上のスティーブ・ジョブズ氏が手に持つ茶封筒から、新製品のMacBook Air を取り出す姿を写した画像に覚えがありませんか?

今でこそ、超軽量薄型パソコンは特別なものではありませんが、当時はまさか封筒からパソコンが出てくるとは夢にも思いませんでしたので、衝撃的だった訳です。あの一瞬で『ウルトラモバイルノートパソコン』という概念を、世界中が理解したのでした。

選挙の応援演説では、小泉進次郎氏が人気ですが、進次郎氏の演説の巧さは『掴み』の一言にあります。ある陣営のスタッフとして進次郎氏の演説に立ち合った時の掴みの一言は、その地域のお祭りについてでした。

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『◯◯祭といえば×××︎、×××といえば◯◯祭!』

簡単なフレーズですが、一気にその場に集まった数千人の心を掴んだのを感じました。続けて、『歩道橋の踊り場におられる青いシャツを着たお兄さん』『そこのピンク色のジャケットを着たお姉さん』という風に1人1人に語りかけるのです。

元気な挨拶だけでも良いのです。何か良い印象を残す工夫を実践してみてはいかがでしょうか。

 

2 目の前の人たちを良く知る

聴衆の心を掴む演説の背景には、徹底的な調査があります。進次郎氏に限ったことではありませんが、事前に応援する候補の陣営からヒアリングをすることで、その地域の文化や近隣住民の関心事などを把握しているからこそ、聴衆が聞きたくなるような話ができるのです。

自分が言いたいことを言う前に、目の前にいる人はどういう人で、何を考え、何を聞きたいのかを知るということが非常に重要です。

 

3 ことばならざることば

演説内容もさることながら、立ち振る舞いや話し方も印象を大きく左右する要素です。

会場入りや登壇する時に、軽やかに走って登場して、一段飛ばしでステージへ上がれば、若々しく元気な印象を与えます。大袈裟な身振りで歯切れ良く話すのも、同様の印象に繋がります。

これを裏付けるように、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)という研究分野では、伝えたい情報の95%は言語化できないという研究があるくらいです。

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投票行動に関する調査によると「政策で選んでいる」「支持政党で選んでいる」という答えが多いのですが、本当に候補者を比較している人はどれだけいるでしょうか? 実は意識的な比較ではなく非言語コミュニケーションの積み重ねによって「何となく投票先を決めた」有権者が意外に多いものです。

演説中の立ち振る舞いは気にされる方も多いのですが、『演説以外の立ち振る舞い』にも気をつけることで、印象が違ってくるかもしれませんね。

 

4 数字を叩き込む

政策に関わる数字について、図表で示す場合には「市庁舎建設に100億円!」のように丸めて表した方が伝わりやすい場合もあるのですが、

演説の場合は、江東区の人口は「平成20年は428,294人 令和2年には521,835人 と12年で93,541人増加しており…」

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と1桁までスラスラ出てくることで「良く勉強しているなあ」と感心されて(実際に勉強しないとならないのですが)グンと説得力が上がります。

政策立案には概算が頭に入っていれば良いのでしょうが、演説のために意識的に数字を1桁まで暗記していて、選挙にも強いと言われる議員もいます。